前回→「日経MJ」に当宿の記事を掲載いただきました!/宿方針「おもてなしをしない」再考
前回、当宿の方針その1「おもてなしをしない」の再考について書きましたが、この際だから、方針その2の「説明をしない」点についても再考をしたいと思います。
【前回書いた「説明をしない」方針の要約】
・「説明が必要」というのは、事前に十分な情報提供をしていない、ということ
・方法その① ホームページに宿の使い方情報を掲載しておく
・方法その② 宿の要所要所に注意事項を貼っておく
・方法その➂ 宿の運営の考え方を示しておく
さて、「説明をしない」考え方を示して7カ月になりますが・・・
こちらも基本的な考え方は変わっていません。
ただ、この7カ月の間に色々なお客様が来られました。やはり説明をしないというわけにはいきませんでした。ホームページに必要な情報を掲載するといっても、それを見るかどうかはお客さん次第ですし、見なかったとしても、そういうホームページを作った側が改善すべき問題です。
また、宿の運営の考え方を示すのは大事ですが、してもいいこととしてほしくないことははっきりと書くべきだと思いました。
先日、琵琶湖の島の宿に泊まったときに、受付時に注意事項をお渡しいただきましたので、当宿でも作ってみました。
というわけで、ルールを以下の通りまとめました。10項目以上になると、たぶん覚えきれないと思います。細かいことを言いだしたらきりがないのでしょうが、当宿にお越しいただく方はホームページを見た上で電話かメールでご予約をいただいているので、宿の方針を理解せずに来られる方はいないと思いますし、実際開業以来おられませんでした。
1.全館禁煙です。
室内で喫煙されますと警報機が鳴ります。玄関出たところに灰皿がありますのでご利用ください。
2.門限・消灯時間はありません。
近隣の家や他のお客様のご迷惑にならないようご配慮ください。また、夜に車で出かける時には絶対に飲酒運転はしないでください。
3.チェックアウトは10時です。
翌朝早い時間に出発される場合、宿主への声かけは不要です。
お布団はそのままにしておいてください。宿主が片付けます。
荒島岳登山などで荷物の預かりをご希望される場合はご相談ください。
4.調理器具、食器、冷蔵庫などご利用いただけます。
食器は流し横の乾燥棚にたてかけておいてください。冷蔵庫に食料を保管する際にはマジックで名前を買いておいてください。BBQ設備・炭も無料でご利用いただけます。
5.洗面器具、タオル等はご持参ください。
(シャンプー、リンス、ボディソープは備え付けております。)
6.ゴミはゴミ箱に、缶やペットボトル等はまとめて置いてください。
7.洗濯機を使用希望の方は声をおかけください。(無料です。)
8.女性の方が浴室を使用される場合には、ドア横の「女子入浴中」の札をかけてください。
お風呂にお湯張りされる場合、掃除等に使いますので湯は残しておいてください。
9.和室の仏壇は開けないでください。
10.車で外に出る場合、スロープからの転落にお気をつけください。宿主が誘導しますので声をおかけください。
ということで、今後はこのルールを受付の際にお客様に手渡したいと思います。
また、お客さんのご要望は極力お受けしたいとは思いますが、定員10人の宿ですし、サービスや料金体系などは極力付け加えず、このままで行きたいと思います。
例えばですが、宿によっては洗濯機を使ったり浴槽にお湯張りをされたら別途料金がかかるところがありますが、当宿は無料です。
洗濯機を使うお客様はほぼ連泊のお客さんです。連泊だとシーツの交換とかをしていないのでその分手間がかかりません。連泊割引をする宿もあります。それなら連泊のお客さんにはその分サービスをしたほうがいいと思います。
浴槽にお湯を張ると水道とガス(当宿は灯油です)がかかりますが、お客様の約半分は温泉ランドなどで入浴を済ませてから宿に来られます。残り半分のお客様のうち浴槽にお湯を張る方は2~3割といったところです。全体で見ると宿の運営コスト増の要因というほどではありません。
宿主がひとりで運営している宿です。やるべきことが増えていったらその分負荷がかかり、自分は楽しめないしそれがお客さんにも伝わってしまいます。ややこしいこととイヤなことはやらないと決めています。
ということで、「説明をしない」という方針については変わりません。
また、当宿も少しずつではありますが、宿をお気に入りいただいて2度3度とお越しいただくお客さんが出てきておりますが、そういった方はほぼ説明は不要ですし、知り合いの方をお連れいただいても、宿主ではなく以前来られたお客さんが説明されています。
開業して9カ月半、お客さんがもの凄く増えたというほどではありません。もう少し売上がほしいというのが本音のところです。
しかし長い目で見れば、当宿の方向性に共感いただいたお客様とその知り合いの方に何度でも来ていただきたいと思いますし、そうすることで居心地の良い宿になると思うのです。